干物ハニーと冷酷ダーリン

『すぐさま戻って、長谷川に引き継ぎ』

「はい」

『終わったら、滝連れて印刷所行ってこい』

「はい」



要件だけを伝えるだけ伝えて、電話を切った水城さん。

あまりにも腹が立ったので、しっかり電話が切れている事を確認してから盛大な舌打ちをぶっ放してやった。

キチンなあたしが出来る精一杯の反抗。

電話越しでも、本人の目の前では出来ません。
だって、怖いんだもの。


ともあれ、言われた事をやっておかないとまた雷が落ちそうなので、瞬時に戻った。


お腹が凄い鳴ってたけど、聞こえないフリをして長谷川さんに引き継いだ。

その間、あたしの腹虫は怪獣へと進化を遂げ盛大に呻きだし主張しまくっていたため、煩わしかったのか不憫に思ったのか、長谷川さんからおにぎりを貰った。


多分、長谷川さんのお昼ごはんのやつ。

もう一つ食うか?
聞かれて、遠慮なく貰った。
ついでに飲み物も貰った。


ありがとうございます。

そして

さようなら。


流れる様に打ち合わせ室を出たあと、滝くんを連れ印刷所に出向き、念願だったおハゲ所長と対面し毎度の如くどやされた。


滝くんは隣ですげぇ泣きそうになってたから帰りにちょっとお高いお菓子をいっぱい買ってあげた。

ついでに水城さんの名前で領収書も貰ってきた。






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