干物ハニーと冷酷ダーリン
寝られない。なんて何のその。
十分過ぎる程寝た。
むしろ爆睡決めこんだかも知れない。
だって、いないんだもの。
勝手に目覚まし係に任命した水城さんが。
起こしてさえもくれてない。
こんなにも外は明るいのに。
現実を受け止められなくて、なかなか時計すら見れないでいるあたしは社会人失格かもしれない。
確実に遅刻である事は間違いなく真実なのに。
急がなきゃ行けないのに、余裕をかましてしてうのは何故なのだろう。
ようやくちらっとサイドテーブルの時計を見ると、10時16分。
ほら、遅刻です。
こんな時、声を大にして言いたい事がある。
「出版社勤務でよかったー!!!」
原則、月で決められている勤労時間を満たしていれば月給を与えられ時間外労働は残業扱い。
よってうちの出版社は言わば、フレックスタイム制なのである。
余裕もかましちゃうわよ。
なんて言ってられず、頭の隅から指導係だったことを引っ張り出して慌てふためく。
ごめん、高橋さん。
すまん、高橋さん。
すぐに行くから待ってて!!
一連の流れをものの数分で終わらせ、バッグを引っ掴みマンションを飛び出した。
もちろん、部屋のどこにも水城さんは居なかった。
あの男、1人で行きやがった。ちくしょう。