干物ハニーと冷酷ダーリン


「えーと、西口さんだったね。そりゃあもう、大変なんてもんじゃないよ。締め切り守らない先生もいるし、印刷所からは苦情はくるし。ベタ塗りしたりトーン貼ったり。水城さんにはどやされるしで、もうボロボロ」



「えっ?ベタとかトーンってアシスタントさんがやるんじゃないんですか?」



「いやー、それがね、アシスタントさん居ても間に合わない時が多々あるんだよ。おかげで、徹夜しまくってお肌はボロボロだし、隈はとれないしで、泊まり込みなんてざらにあるよ」



「泊まり込み……ですか?」



「そーそー。あたし月の半分は編集部で寝てる気がする。入稿前なんて特にね、意識がぶっ飛ぶもんだから、床とかで寝てる時があるよ」




「そ、そうなんですか………」



西口さんは、それはひきつった表情でコーヒーをゴクリと飲んだ。



えっ?あたし、何か変な事言ったかな?

まぁ、普通の会社なら変だけどここ出版社だし、それに本当の事だし。






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