女嫌いと男性恐怖症
「ダメですってば!」
「まだあのヤローを思い出すか?」
切ない声を出した晶に、遥は胸がギュとした。
「そんなこと。もうお兄ちゃんよりすごいことされて、なんかお兄ちゃんのことどうでもよくなったっていうか」
すごいことって。
表現の仕方、んっとに大丈夫かよ。
「じゃ思い出しそうになったら言ってくれ。いつでもキスしてやる」
「な、なんでそうなるんですか!」
真っ赤な顔が愛おしい。
「違うのか?」
「ちが、そういうことじゃなくて、していいなんて言ってない!」
「そうか。許可がいるのか。じゃ、今していいか? キス」
「!」
どれだけ側にいて、今まで我慢してきたと思ってるんだ。
少しくらい意地悪させろ。
そう思っていた晶の耳に、思わぬ声が届く。
「いいですよ」
「なっ」
今度は晶が赤面して、動揺することになった。
「私も好きな人に触れたいです」
ぎゅっとしがみついてきた遥に、晶は動揺しつつもそっと腕をまわした。


