完璧執事の甘い罠
「その、大事そうにしているネックレスも、彼からの贈り物?」
「こ、これは・・・」
「ドレスなんかはこちらの用意したモノも着てくれているけど、ネックレスは絶対にそれを外さないし、時折大切そうに触れてるから」
そんなところまで見てくれていたんだ。
全然気づかなかった。
「そのジルって人は・・・、僕も会った事のある執事の人だね?」
「・・・はい」
嘘をつくこともできなくて、ううん、それ以上に誠実に接してくれるエリックさまに嘘をつきたくなくて素直に頷いた。
正直に話した上でわかってもらおう。
私は、この結婚をちゃんと受け入れるつもりだって。
エリックさまのことだって大切にしたいって。
例えそれが恋心ではなくても。
「身分違いの恋だよ?」
「わかってます。・・・それでも、止められなかったんです。それに、私は根っからの王族育ちではなくて、庶民的な暮らしをずっとしていたので・・・」
馬鹿正直に話しすぎかな。
でも、嘘はつきたくなかった。