副社長は束縛ダーリン
デザートコロッケはバレンタイン向けに考えたレシピで、挽肉の代わりにフリーズドライの苺を砕いて入れ、チョコレートソースをかけてみた。
まずくはない。
班長の三上さんだって『意外と味のバランス取れてて面白いね』と言ってくれたもの。
しかし、これを市場に出して、はたして利益が生まれるのか?と聞かれたら、『すみません、考え直します』と言うしかなかった。
乳酸菌入りコロッケに至っては、油で調理した段階で乳酸菌は死滅すると指摘され、試作品を作ることもできなかったのだけれど。
これだけは分かってもらいたいが、私は仕事中にふざけたことは一度もなく、常に真面目に全力投球しているつもり。
ユキヒラ食品のコロッケを大勢の人に愛食してもらうために、愛情と情熱を持って開発に取り組んでいるというのに、なぜか空回りしてしまうだけで……。
成果を出せていないことは自覚しているので、反論するのは心の中だけ。
その代わりに頬を膨らませて彼を見上げると、三角巾を被った頭を、子供をあやすようによしよしと撫でられた。