副社長は束縛ダーリン
副社長室にこもってのデスクワークのみではなく、取引先との打ち合わせや会食に出かけたり、いくつもの社内会議に出席し、税理士やら経営コンサルタントやら各部署の責任者たちとも、私には理解不能な難しい話し合いをするのが、彼の毎日の仕事内容だ。
しかも副社長に就任してまだひと月ほどで、慣れない業務は大変だと思うのに、どうして時間を作ってここに来るの?
悠馬さんがこれといった理由もなく、開発室に来るようになったのは、私と付き合い出してから。
ということは、もしかして……私に会いたいからなのかな?
日曜日だった昨日は彼の自宅マンションで過ごし、たっぷり愛し合ったというのに、翌日の午後にはもう、私に会いたくなるなんて……。
悠馬さんが開発室に来た理由を勝手に解釈し、私の頬は緩む。
幸せすぎて、ついついだらしのない顔を晒してしまうと、泉さんは呆れたような小さな溜め息をついて立ち上がった。
彼女はダメ出しされた資料を手に、自分のデスクの方に歩き出したが、思い直したように立ち止まって私に振り向く。
「ねぇ、窮屈じゃないの?」
「なにがですか?」
「副社長の束縛と独占欲が。
ここに頻繁に顔を見せる理由って、つまりは男性社員への牽制でしょ?」