副社長は束縛ダーリン
牽制……?
その言葉にピンとこない私は、首をかしげる。
二班の男性六人は、四十代の班長の三上さん以外みんな独身で、三十代が四人と二十代がひとり。
話しやすくて面倒見がよく、『朱梨ちゃん』と親しげに呼んでかわいがってくれる、いい先輩たちだ。
チームでの共同研究もあるし、この広くはない部屋でいつも一緒に働いているから、私の中での仲間意識は強く、私も先輩たちの役に立ちたいと常日頃思っている。
そんなふうにお互いを思い合って仕事をしている私たちだけど、それは決して色めいたものではなく、誰も私を恋愛対象にしていないのに。
第一、私と悠馬さんの交際は、社内の誰もが知っている。
それは『隠す必要はないよ』と言う悠馬さんが、積極的に噂を広めるような言動を取るからだ。
それなのに、牽制のために二班の開発室に来ているというの?
それは考え過ぎでは……。
「きっと違いますよ」と、にっこり笑って見せたら、泉さんも心配そうな表情を解いて、つられたように口元を綻ばせる。
「私には、そう見えるというだけ。彼氏である自分の存在をアピールしに来てるんじゃないかって。
まぁ、朱梨が気にならないなら、いいか。
男性たちは気の毒だけどね……」