副社長は束縛ダーリン
“食べ歩き”、“洋食屋”と言われ、すぐに長谷部くんの顔を思い出した。
美味しい洋食屋があって、コロッケが絶品と言ってたよね。
一度は断ったあの誘いに、乗ってみようかな?
でも、悠馬さんに怒られそうだし……。
考え込む私を押し退けるようにして、泉さんは通路に出た。
私の肩をポンと叩いて「先に戻ってるよ」と、廊下に出ていく。
慌てて私も資料を手に、廊下で彼女に追いついたけど、心の中ではまだ迷っていた。
長谷部くんと食べ歩きするのは、ちょっと……。
それに、ダイエット中でもあるし……。
「食べ歩きか……」と独り言を呟いたら、「太るって気にしてるの?」と、クスリと笑われる。
「副社長と釣り合ういい女になるって宣言してなかった?
いい女というのは、見た目だけじゃないでしょ。仕事でも、いいところを見せてあげないと」
目から鱗のその言葉にハッとさせられ、私は皺になるほどに資料を握りしめていた。
なにもかも、泉さんの言う通り。
ナイスバディを手に入れたとしても、それだけでは悠馬さんに釣り合ういい女とは言えない。
副社長である彼に似合う女になりたいなら、仕事でも活躍しないと。