副社長は束縛ダーリン
取り繕うような笑みを浮かべて、私にビニール手袋を「はい」と渡す彼。
手袋をはめて、タネに小麦粉をまぶしながら、私は考え込んでしまう。
副社長がいたらヤバイとは……?
私に話しかけられたり、一緒に作業する姿を見られると、睨まれるかもしれないという心配かな?
仕事上のことだから、悠馬さんが怒るはずはないのに……。
そんな懸念は無用だけど、それでも悠馬さんがここに現れることで、林さんが変に気を使うことになるのは確かみたい。
さっきの泉さんの言葉を思い出す。
『つまりは男性社員への牽制でしょ』
私に会いたくて来ているだけだと思うけど、二班の男性たちにしたら、私に近づくなというプレッシャーに感じてしまうのか。
これでは泉さんの言った通り、先輩たちは気の毒だ。
悠馬さんに言った方がいいのかな?
もう開発室に来ないでください、と……。