副社長は束縛ダーリン

その手には小皿が持たれていて、紙ナプキンの上に美味しそうなクッキーが三枚のせられていた。

それを私のテーブルに置くから、首をかしげる。


「あの、注文してないですよ?」

「俺からのサービス。さっきから物憂げに溜め息ついてどうしたの? 君には笑顔が似合うよ。これ食べて元気を出して」


そんなにあからさまな溜め息はついていないと思うのに、よく気づいたものだ。

そして心配してサービスしてくれるなんて、随分と優しい店員さん。

その優しさを、ダイエット中だからと無下にはできず、笑顔を作ってお礼を口にする。


「ありがとうございます。優しいんですね」

「かわいい子には優しいよ。ブスにはサービスしないけど」


あれ? そんなにいい人でもないのかな……?

彼への評価が決まらなくて、微妙な笑顔でクッキーを口にすると、彼は二度目のウインクをくれて、また仕事へと戻っていった。


お腹が空いていたから、甘いクッキーがとても美味しく感じられる。

カロリーを気にしつつも、あっという間に食べ終えて、それから「え?」と呟いた。

クッキーの下に敷かれている四つ折りの紙ナプキンに、【めくってみて】と手書きのメッセージが添えられていたのだ。


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