副社長は束縛ダーリン

手に取ってクッキーの粉を落とし、開いてみると、そこには次のメッセージが。

【美味しかったでしょ? 君が元気になれる魔法をかけておいたからね】

その下には【悩み相談、受付中!】という言葉と、彼の名前と連絡先も書かれていた。


これは優しさなのか、それとも下心的なものなのか……。

どちらにしても、連絡する気はない。

悠馬さんを傷つけたくないもの。


そっと四つ折りに戻した紙ナプキンを、どうしようかと考える。

気づかなかったふりをして、置いていこうか……?


そう思って、カウンターの内側で仕事中の彼をチラリと窺うと、目が合ってしまった。

慌てて目を逸らし、紙ナプキンを手の平サイズにまで折り畳んでうろたえる。

気づかなかったふりが、できなくなっちゃった……。


そこに運悪く悠馬さんが現れたから、私はさらに焦ることとなる。


「朱梨、お待たせ」


テーブルの横に立ち、私の肩にポンと手をのせる彼の視線が、私の顔から手元に移った気がした。

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