副社長は束縛ダーリン
「悠馬さん、あの……」
レジカウンターの前で会計伝票を出す悠馬さんは、私の呼びかけに答えてくれない。
「四百十円です」と事務的に言うカフェ店員の彼には、私に向けてくれたような笑顔はなく、どことなく不愉快そうに見える。
悠馬さんは財布から一万円札を一枚、取り出して、ステンレスのキャッシュトレイに置いた。
「お釣りはいらないよ」
その発言に私も店員も驚き、目を丸くする。
四百十円の会計に一万円を支払うって、不自然なほどに太っ腹すぎるでしょう。
「いらないと言われましても……」
「小皿のお菓子代として取っておいて。俺の彼女が、君に奢られる理由はないからね」
そっか……伝票には飲み物代金しか書かれていないのに、テーブル上にはお菓子が出された形跡があったから、誰かにサービスされたと悠馬さんは気づいたみたい。
でも、それがどうしてこの店員だと分かったの?
他にも男性店員はいるというのに。