副社長は束縛ダーリン

私が気づかなかっただけで、もしかするとふたりは、こうしてレジで対面する前に、視線をぶつけ合っていたのかも……そう思って、ポケットに隠した紙ナプキンを気にした。


これは絶対、悠馬さんに見せられない。

これ以上、嫉妬心を刺激したら、口論になる恐れがあるから。

家に持って帰って、処分するしかないよね……。


しかし、悠馬さんの手が突然キュロットスカートのポケットに入れられ、私は驚いて「あっ!」と声を上げた。

取り出されたのは紙ナプキン。

悠馬さんは、なにもかもお見通しといった顔をして、それを一万円札の上に置いた。


「これも、いらないよ」


口元に笑みをキープしている悠馬さんだけど、怒りの感情はひしひしと伝わってくる。

店員の彼はムッとしているような、ふて腐れたような顔をして、なにも答えずに悠馬さんと視線をぶつけていた。


睨み合うふたりに私はハラハラさせられて、「ごめんなさい!」と店員に謝ると、悠馬さんの腕を引っ張るようにして、慌てて店外に出た。

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