副社長は束縛ダーリン
ビルの谷間が茜色に色づいて、私たちの影が、長く後ろへと伸びていた。
ほんの数メートル先の路肩には、個人タクシーが停車していて、私たちが近づくと、後部席のドアが自動で開いた。
どうやら悠馬さんが呼んだタクシーのようだ。
乗り込んで、彼が目的地を告げると、タクシーはウィンカーを上げて走り出す。
それからすぐに、先ほどの話の続きに戻された。
「朱梨は浮気しないと信じてる。あいつが勝手に連絡先を渡してきたんだよね?
それで俺が現れたから、朱梨は焦って、連絡先をポケットに隠してしまったという感じだったな。でも……」
さっきの事情を説明しなくても、悠馬さんは分かってくれているようなので、これ以上の言い訳の必要はないみたい。
浮気なんてできない女だと信じてくれるのも嬉しい。
それはいいとして……『でも』ってなに?
左隣の端正な横顔を見つめて首をかしげると、彼の目線だけが私に流された。