副社長は束縛ダーリン

「ユッコ、急用で来れなくなったって、さっきメールがきたんだ」

「えっ!?」


ちょっと待ってよ。それはマズイ。

長谷部くんとふたりきりだと、はたから見れば、まるでデート中のカップルだ。


二日前のカフェを出た後、タクシーの車内でも、一緒に夕食を食べた和食ダイニングでも、悠馬さんに『なにを隠しているの?』と問い詰められた。

冷や汗を流しつつ、作り笑顔で必死にごまかしていたら、最終的には『俺の気のせいか』と言ってもらえたけれど、ホッとすることはできなかった。

嘘をついている罪悪感に、心が痛くて……。


でも、正直に話したら、男もいるならダメだと言われそう。

やっぱり嘘をつくしかない私は、『ユッコも一緒だから許してください!』と、心の中で言い訳とお願いをしていたというのに……ユッコに欠席されると困ってしまう。


六月の同期での飲みの席で、長谷部くんが交際相手と別れたという話を聞いてから、彼はまだ次の彼女を作っていないみたい。

それでユッコは、『ちょっと本気で頑張ってみようかな』と、はにかみながら私に教えてくれた。

今日の食べ歩きは、絶対に来るはずだと思っていたのに、急用って一体なに?


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