副社長は束縛ダーリン
考えてみたけれど、長谷部くんより優先度の高そうな用事を思いつけなくて、こんな結論に達した。
もしかして、急用というのは私たちを心配させないための嘘で、本当は体調を崩して寝込んでしまったのでは……。
慌ててバッグからスマホを取り出し、ユッコに電話をかけようとすると、長谷部くんに止められた。
「あ、あのさ、ユッコは今頃、友人の結婚式に参列中だから、電話しない方がいいよ。
ほら、チャペル内で着信音が鳴り響くと、困るだろうし」
「友達の結婚式なの? え、急用で結婚式って、そんなのあるの?」
「あ〜なんかね、そんなに親しくない友人の結婚式に、急な欠席者の穴埋めで参加を頼まれたみたい」
「そっか……」
そういうこともあるよね。
ユッコは頼まれたら断れないところがあるから。
きっと後ろ髪を引かれる思いだったろうなと、ユッコに同情していたら、長谷部くんに爽やかな笑顔を向けられた。
「俺とふたりでもいいよね?」