副社長は束縛ダーリン

彼からの誘いを一度キャンセルした後に、やっぱり行きたいと勝手なことを言って、都合をつけてもらっていた。

それなのに、『ふたりなら無理』とは、私には言えない。


悠馬さん、ごめんなさい。

デートみたいに見えるかもしれないけど、違うんです。

これは新作レシピのヒントを探すための食べ歩きで、仕事の延長線上のことなんです。


そうやって心の中で言い訳し、私は「うん……」と頷いた。


「じゃあ、早速、一軒目に行こうか」


長谷部くんは嬉しそうな顔をして、なぜか私の手を取った。

手を繋いで歩こうとしているようだけど……どうして!?

モテる彼のことだから、女の子とふたりでいるときの癖のようなものなのかもしれない。

でも、私はただの同期。
間違えてもらっては困るよ!


驚いて手を引っ込めようとしたけれど、その前に繋がれた手が、無理やり解かれる結果となった。

白髪頭で腰を曲げ、杖をついたおじいさんが後ろからやってきて、私たちの間を通っていったのだ。

< 166 / 377 >

この作品をシェア

pagetop