副社長は束縛ダーリン
彼からの誘いを一度キャンセルした後に、やっぱり行きたいと勝手なことを言って、都合をつけてもらっていた。
それなのに、『ふたりなら無理』とは、私には言えない。
悠馬さん、ごめんなさい。
デートみたいに見えるかもしれないけど、違うんです。
これは新作レシピのヒントを探すための食べ歩きで、仕事の延長線上のことなんです。
そうやって心の中で言い訳し、私は「うん……」と頷いた。
「じゃあ、早速、一軒目に行こうか」
長谷部くんは嬉しそうな顔をして、なぜか私の手を取った。
手を繋いで歩こうとしているようだけど……どうして!?
モテる彼のことだから、女の子とふたりでいるときの癖のようなものなのかもしれない。
でも、私はただの同期。
間違えてもらっては困るよ!
驚いて手を引っ込めようとしたけれど、その前に繋がれた手が、無理やり解かれる結果となった。
白髪頭で腰を曲げ、杖をついたおじいさんが後ろからやってきて、私たちの間を通っていったのだ。