副社長は束縛ダーリン
私たちの後をつけてきたの?
いや、まさか偶然だよね。
それにしても、腰を曲げて杖をついて歩くおじいさんなのに、若い私たちとさほど変わらないスピードで歩けることに感心させられる。
腰を伸ばしたら、身長は百八十センチほどありそうだし、歩幅が大きいのかもしれない。
長谷部くんは「さっきのお年寄りだね」と、囁くように言っただけで、すぐに興味をメニュー表に移す。
「朱梨ちゃんはコロッケ定食だよね。デザートも食べる?」
問いかけられて私も意識をメニューに戻す。
コロッケは確定で、その他にデザートじゃなく、こっちの美味しそうな……。
「お待たせしました」
しばらくすると、注文した料理が運ばれてきた。
長谷部くんはパンとサラダのついた、ビーフシチューのセットで、私はコロッケ単品と、ハンバーグとオムライス。
「そんなに食べられるの?」と、彼に心配そうに聞かれた。
「食べるよ。今日はカロリーを気にしないことにしてるの。コロッケ以外のものからも、ヒントを得られるって泉さんが言ってたし、色々食べないと」
フォークを手にして、そう宣言したけれど、三つの皿を見て残したらどうしようと心配にもなり、言い直した。