副社長は束縛ダーリン
頭に浮かぶのは、悠馬さんの顔。
仕事のためとはいえ、こうして長谷部くんとふたりで出かけることに罪悪感を覚えるのに、ただ遊ぶだけなのは気が進まない。
やはりこの外出は、食べることと切り離せない。
私はスマホを取り出して、地図アプリを起動させる。
立ち止まった私に、長谷部くんも足を止め、私の手元を覗き込んだ。
「なに調べてるの?」
「ええとね……あ、あった」
私が探していたのは、この住宅地の近辺にある商店街だ。
私の実家もそうだけど、商店街には大抵、肉屋や総菜屋があり、手作りコロッケを売っている。
今すぐ二軒目の洋食屋が無理でも、コロッケひとつくらいなら、食べられるよね。
地図で見つけた商店街は、ここから東に二キロほど離れた場所にあり、歩けば腹ごなしにもなるし、カロリー消費も望めてちょうどいいだろう。
そんな説明をして、長谷部くんの同意を求めて顔を見た。
「ちょっと歩くけど、長谷部くんは営業だから、歩くの得意だよね?」
「いや、営業といっても、常に歩いているわけじゃないよ。でも、それでいい。朱梨ちゃんと話しながら歩けば、長距離もあっという間に着きそうだ」