副社長は束縛ダーリン
芸能人説を唱える私を、長谷部くんはまた笑う。
「極端な推理だね」
その後は、おじいさんの正体について、ふたりであれこれと推測し、会話を弾ませて楽しく歩くこと三十分ほど。
やっと目的地である商店街にたどり着いた。
アーチ型の屋根のついたアーケードが、二丁分に渡って伸びていて、三十ほどの店が間口を構える結構大きな商店街だった。
私の生まれ育った実家も似たような感じなので、ホッとするような懐かしいような、楽しくなるような気持ちが湧いてくる。
中高年層の買い物客で賑わい、駅前の繁華街とは違って、ここでは若い私たちが浮いて見えていそう。
長谷部くんはあまり居心地がよさそうには見えないけれど、笑顔の私に合わせようとしているのか、「たまにはこういう場所も楽しいね」と言ってくれた。
お茶屋の店先で、冷たい緑茶を試飲して、乾物屋でおぼろ昆布を試食する。
『お試しください』と書かれている足裏マッサージ機に足をのせ、花屋の前では、カラフルに愛らしく咲く花たちに見とれて立ち止まった。