副社長は束縛ダーリン
「こういうの、いいよね。手頃な値段で色んな花を楽しめて」
私が指したのは、ミニブーケ。
五種類の花をコンパクトに束ね、包装フィルムで巻いたブーケが、水を張ったバケツにたくさん入れてあった。
価格は五百円で、それなら食料品や雑貨を買うついでにミニブーケも、という気持ちにさせられる。
花に頬を綻ばせる私の隣で、長谷部くんが財布を出していた。
「いらっしゃい」と出てきた女性店員に、「これ、ひとつください」と言うので、私は慌てる。
「長谷部くん、もしかして、私に買ってくれようとしてるの?」
「そうだよ。朱梨ちゃん、欲しいんでしょ?」
「だ、駄目だよ!」
やっぱり頭に浮かぶのは悠馬さんの顔で、この場にいないにも関わらず、彼の顔色を気にしてしまう。
買っては駄目だと言った私に、長谷部くんは「なんで?」と首をかしげた。
悠馬さんが不機嫌になるから……とは言えない。
そんな言い方をすれば、今日のことを副社長に報告されるのかと、長谷部くんを怯えさせてしまいそう。
「ええと、ほら、持って歩けば萎れちゃうかもしれないし。この後、夕方まで食べ歩くでしょ?」
「……それもそうだね」