副社長は束縛ダーリン
私の左手を握る、彼の手の力が強まるから、食べかけのコロッケが潰れそうだ。
どうしようとうろたえるばかりで、彼の手を振り解くこともできず、「私には悠馬さんが……」と、それだけを口にした。
長谷部くんは、もちろん知っているというように、深く頷く。
「セレブな副社長より、俺の方が朱梨ちゃんに似合うと思って、今日のデートで君の気持ちを変えられないかと企んでたんだ。
でも恋愛対象外なのが分かっただけだった。副社長と張り合うどころじゃない。というより、俺ってコロッケ以下の存在でしょ?」
長谷部くんとコロッケ、どちらが好きかと問われたら、答えはコロッケになる。
思わず正直に頷いてしまい、その後に失礼な反応をしてしまったと慌てていたら、長谷部くんが吹き出した。
あれ、傷ついていないの?
私を想ってくれていても、その気持ちは、それほど深くないと解釈していいのかな……?
アハハと声を上げて笑う長谷部くんに、つられ笑いをしつつ、その気持ちの程度を測っていたら、急に笑うのをやめた彼が、ムッとした顔をする。