副社長は束縛ダーリン
「俺、女の子に振られたの初めて。悔しいな……。せめて思い出くらい、もらってもいいよね?」
「思い出って……えっ!?」
掴まれている手を引っ張られ、私の体は傾いて長谷部くんの胸の中へ。
空いている方の手で彼の胸を押し、急いで離れようとしたら、目の前に彼の唇があり、さらに慌てることとなる。
「長谷部くん駄目! 絶対に駄目!」
「なんで? キスくらい、いいじゃん。副社長には秘密にしておくから」
「駄目だったら……あっ!」
顔を背けてキスを防いでいたら、頭を両手で掴まれて、顔の向きを戻されそうになる。
いつもの長谷部くんは、こんなふうに強引に女性に迫る人じゃないのに。
もしかして、私なんかに振られてプライドが傷ついたせいで、おかしなスイッチが入ってしまったの?
悠馬さんにバレなきゃいいわけじゃなく、私が彼氏以外の男性とキスするのは嫌だって、分からないの?
「駄目だって、言ってるでしょ!!」
叫ぶように拒否を口にした私は、手の中で潰れた食べかけのコロッケを、長谷部くんの口に押し込んだ。