副社長は束縛ダーリン
「ふ、副社長……」
それだけ呟いた後は絶句して、長谷部くんは青ざめている。
きっと頭の中には、左遷やクビという文字が浮かんでいることだろう。
怯える長谷部くんを見ていると、かわいそうになって、急いで悠馬さんに言い訳をした。
「違うんです。長谷部くんは、私の新作レシピのヒントを探すために、美味しい洋食屋を紹介してくれただけで……」
悠馬さんの視線が再び私に向いて、ギクリとした。
しかし怒っているというより、呆れているような顔で、小さな溜め息までついてから、切り返された。
「朱梨がそう思っていただけで、この男は違う。最初から朱梨を狙って、色々と企んでいたんだよね?」
すべてお見通しといった様子の悠馬さんに、私は視線を泳がせる。
それは、そうだけど……。
フォローの言葉を失い、どうしようという目で長谷部くんを見ると、強い焦りを顔に浮かべた彼は両手両膝を地面に着き、悠馬さんに頭を下げた。