副社長は束縛ダーリン

悠馬さんはリビング奥のキッチンスペースに移動して、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、グラスに注いで一気に飲み干していた。

それからバスタオルをダイニングの椅子に投げ置くと、私のところまで歩いてきて、ソファーの右隣に腰を下ろした。


目を合わせることのできない私が、ブーケに視線を止めていると、裸の腕を肩に回され、もう一方の手で顎先をつままれた。

強制的に顔を彼に向けさせられて、そこからは視線を逸らすことを許してくれなかった。


ボディソープの爽やかな香りを纏う彼が、真面目な顔をして私に話しかける。


「まずは朱梨の説明を聞こう。
後をつけて会話もところどころ聞いていたから大体の把握はできているけど、朱梨の言葉で聞かせてもらおうかな。正直にね」

「は、はい……」


『正直に』という指示通り、私は長谷部くんと食べ歩きに至る過程を説明した。

『朱梨ちゃんに紹介したい美味しい洋食屋が何軒かあるんだ』と言われたところからの、彼とのやりとりのすべてを。

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