副社長は束縛ダーリン

しまったばかりのスマホを取り出して、再びLINEメールを悠馬さんに送る。


【お願いがあります。明日からは、なるべく二班の開発室に来ないでください。副社長の悠馬さんが来ると、みんながプレッシャーに感じてしまうので】


さっきの退社メールは、まだ既読マークが現れず、彼は仕事中。

このお願いを見るのもきっと、夜になってからだろう。


猫がお辞儀をするかわいいスタンプもつけて、「これでよし」とスマホをバッグにしまい、私は開発室を出る。

口の端が上がっているのは、今日も一日よく働いたという充実感と、ひとり分の夕食に、デパ地下でお惣菜でも買って帰ろうかと、のん気に考えているせいだった。



築四十五年の二階建てアパート、寿荘。

深緑のペンキを塗られた剥き出しの鉄の外階段を上がって、すぐの二〇一号室が私のひとり暮らしの部屋になる。


間取りは畳敷き八帖間の1DKで、収納は押入れという若いOL向きではない部屋だけど、私は気に入って住んでいる。

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