副社長は束縛ダーリン


ちゃぶ台に向かい合って座る私たち。

悠馬さんはジャケットを脱いだ白いワイシャツ姿で、座布団の上にあぐらを組んでいる。

冷たい緑茶の入ったグラスに口をつけ、やっと落ち着いて私の話を聞いてくれた。


「というわけで、悠馬さんが来ると男性社員が怯えてしまうので、なるべく来ないでくださいと言いたかったんです。心変わりじゃありませんから」


今日、泉さんに言われた“牽制”という言葉を用いて、気の毒な先輩たちの状況を説明した。

悠馬さんが私に会いたくて来ているだけだとしても、二班の男性たちはそのように捉えてしまうみたいだから、我慢してくださいと。

誰も私を恋愛対象に見ていないことも話して、彼を安心させようとしていた。


「なるほどね」とひと言、感想をくれた彼は、ネクタイを片手で緩めて頬杖をつきながら、今は私に優しい目を向けてくれている。


分かってもらえてよかったとホッとして笑顔を見せる私。

空になっている彼のグラスを手に立ち上がり、二杯目のお茶を入れにいこうとして、彼がきっと夕食をまだ食べていないのではないかと気づいた。

仕事終わりに私からのLINEメールを見て、慌てて走ってきたみたいだから……。


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