副社長は束縛ダーリン

「ここから先はあなたには関係ない話よ」

「待ってください。そんな気になる言い方をされて、そのまま帰られたら困ります!」


私も立ち上がり、慌てて彼女の腕に手を伸ばしたら、パチンと手の甲を叩き落とされて睨まれた。

叩かれた右手を左手で握りしめ、進路を塞ぐように立つと、「望月さん、教えてください!」と諦めずにお願いする。

するとこれまでと違い、その唇には微かに悪意のありそうな笑みが広がり、「仕方ないわね」と彼女は語り出した。


「今まで我が社は冷凍コロッケ市場に参入しなかった。それはユキヒラへの温情よ。うちが入れば潰しかねないもの。
でも気が変わったわ。社を挙げて冷凍コロッケ開発に取り組むことにする。悠馬を得るために、まずはユキヒラ食品を手に入れる。倒産危機に追い込んでから、私に助けてと泣きつかせてみせるわ」

「そんな……」


恐ろしい企みを聞かされて、過去に悠馬さんに告白されたと教えられたときよりも強い衝撃を受けていた。

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