副社長は束縛ダーリン
正直に話すつもりでいたけれど、まだ心の準備ができていない。
言葉が続かずに目を泳がせるだけの私に、悠馬さんは溜め息をついた。
「今度はなにをしでかしたんだ?
こっちにおいで。話を聞かせてもらうよ」
「はい……」
促されてコンロの前から離れた私は、ダイニングテーブルに彼と向かい合って座る。
それから十分ほどかけて、コロッケ勝負についてボソボソと打ち明け、望月さんと交わした契約書もバッグから出して彼に渡した。
「ということになりまして……ごめんなさい。また勝手なことをしてしまいました」
うつむいて割烹着の裾をぎゅっと握りしめている私は、目線だけを動かして、悠馬さんの顔色をそっと窺おうとする。
黙り込んでいるということは、やっぱり怒っているのだと思うけど、その怒りの程度はどのくらい……?
チラリと見た悠馬さんの眉間の皺は、さっきよりも深いものとなっていた。
でも睨むような視線は、私に向いていない。
テーブル上には契約書と、ふたり分の緑茶のグラスの他に、彼のスマホが置いてある。
どうやら悠馬さんはスマホを睨みつけているようだ。
それは私に対してというより、望月さんのことを怒っているという意味に解釈していいのかな?
じゃあ、私へのお叱りの言葉は、なし……?