副社長は束縛ダーリン
しかし、そんな劣勢の予想を聞かされても、望月さんの笑みは少しも崩れない。
「そんなの分かっているわよ。私は長く愛される冷凍コロッケを開発したつもりはないの。十日間の対決に勝つためだけに作ったのよ。リピーターなんていらないわ。
残り一日分は、百万の差で充分に逃げ切れると予想しているけど、どう?」
強気に反論されると私はすぐに納得してしまい、敗戦の予想にまた不安が押し寄せる。
確かに一日で百万円をひっくり返すのは難しいよね。
あと一週間、いや三日あれば逆転できそうな気がするけれど、望月さんの作戦勝ちとなりそうな気がする……。
再びオロオロと落ち着きを失う私。
それに対し、ふたりは静かに視線をぶつけ合っていて、今度は悠馬さんが言い返す番。
「勝つのは朱梨だと思っているが、万が一、望月が勝っても、俺は君のものにならない。俺が愛しているのは朱梨であって君じゃない。賞品になることを承諾した覚えはないから」
それは彼女の求愛をきっぱりと否定する言葉で、私は安堵したいところ。
でも、不安はまだ拭えずにいる。
望月さんなら悠馬さんが拒否しても、無理やり手に入れる手段を考えていそうで、気が気じゃなかった。