副社長は束縛ダーリン

残りの男性ふたりも、それぞれに調理台を使用して、調味料の配合に集中していたり、材料を採寸しながらカットしていたりと、自分のレシピを形にするべく試行錯誤していた。


私は野田さんの指示通りにコロッケのタネを作り上げ、俵に成形し、衣をまとわせて油の中へ入れようとしているところ。

すると、野田さんに止められた。


「朱梨ちゃん、待って。揚げるのは僕がやるから。ごめんね、後片付けの方、頼めるかな?」


この開発室には共用の大型フライヤーは置いていない。

油はそれぞれのレシピに合わせ、何種類もある中から組み合わせて使うから、家庭にあるようなサイズの鍋を使用する方が都合がいい。


油温にだって、レシピ考案者のこだわりがある。

イメージ通りのコロッケが揚がるように、理由をもって温度管理をしているのだ。


それは充分に理解している私なので、自分で揚げるからという彼に「分かりました!」と笑顔で場所を代わり、調理台の上の器具を片付け始める。

< 35 / 377 >

この作品をシェア

pagetop