副社長は束縛ダーリン

「ありがとうございます。えーと……」

「気を使わなくていいわよ。同情されたくないの。遠慮なく喜んでくれた方が気分がいいわ」


私なんかに同情されると、彼女のプライドが傷つくのかもしれない。

それに納得しても、敗者の前で無邪気に喜べるほど、私は子供ではなかった。


望月さんは、負けたら悠馬さんのことをすんなりと諦めると約束してくれていたから、彼女の失恋は決定的だ。

悠馬さんへの恋心にピリオドを打たねばならないことを、自分の身に置き換えて考えてしまうと、心に痛みが走った。

無理やりコロッケ勝負に持ち込まれたときには、『勝って、悠馬さんのことは諦めてくださいと言ってやるんだから』と攻撃的なことを思っていたはずなのに、おかしいな……。


気を使うなと言われても、やはりかける言葉の見つからない私に代わり、悠馬さんが口を開いた。


「望月、約束は守ってくれるよね?」

「ええ。安心して、もうあなたを求めたりしないわ」

「ありがとう。大槻先生に話したことはどうするの?」

「どうもしないわよ。そのうちに婚約発表するだけ。悠馬じゃない、他の誰かとね」


< 358 / 377 >

この作品をシェア

pagetop