副社長は束縛ダーリン
口元に笑みを浮かべ、事もなげに言った彼女だけど、諦めというか、不本意であることは伝わってきた。
親にそろそろ結婚しろと言われたら、従うしかない事情があるのかな。
好きでもない人と結婚しなければならないなんて、大企業のお嬢様はかわいそう。
相手が悠馬さんじゃなかったら、望月さんの恋を全力で応援してあげたのに……。
同情心から、私の目に涙が浮かぶ。
すると彼女にあからさまに睨まれた。
「そういうのは、やめてって言っているでしょう」
「ごめんなさい……」
「謝るのもやめて」
「はい。じゃあ、えーと、ありがとう? 残念でした? それとも、望月さんならきっと最高に素敵な人が見つかります……かな?
あ、最高に素敵と言っても、悠馬さんの次にってことですけど」
返答の正解が分からなくて、色々と思いついた言葉を口にしていたら、彼女がプッと吹き出して笑ってくれた。
それは、今までに見たことのない彼女の笑い方。
望月さんもこんなふうに、素直なおかしさに明るい笑い声をあげられるのだと、意表を突かれていた。