副社長は束縛ダーリン

甘口のシャンパンをゆっくりと味わいながら、ふたりでコロッケ勝負を振り返る。


「あのときの悠馬さん、本気で怒ってましたよね」


私が望月さんに言いくるめられて契約書にサインして帰ったら、悠馬さんは呆れはしたけど最初は許してくれていた。

契約違反のペナルティーは記されていなかったし、無視すればいいと思える状況だったから。

そんな悠馬さんが本気で怒ったのは、その後にかかってきた社長からの電話が原因。

コロッケ勝負をやらざるを得ない状況にさせられて、逃げ道を失ってしまったのだ。


「怒ってごめんね」と彼はばつの悪そうな顔を見せる。


「朱梨に対してというより、状況を変えられない自分に対しての怒りの方が強かったんだけどな」

「そうだったんですか……」


あの後しばらく気まずくて、このまま私たちの関係が終わってしまうのではないかと私は怯えていた。

それを感じないように『勝てばいいのよ』と自分に言い聞かせ、必死にレシピ開発に取り組む日々。

その結果倒れてしまった私を助けてくれたのは、やっぱり悠馬さん。

本当は心配してくれていたと知って、あのときは嬉しかった……。

土壇場でレシピを変えたいと言い出したときも、味方してくれたのは悠馬さんで、結局彼はいつも私を助けてくれる。

< 365 / 377 >

この作品をシェア

pagetop