副社長は束縛ダーリン
自分の試作品に興味を示してもらえるのは嬉しいことだ。
野田さんは照れくさそうな笑顔を見せつつ、半分に割ったコロッケをフォークに刺して、まずは私の口元に持ってきた。
「まずは朱梨ちゃんからどうぞ。
手伝ってくれたから、一番先にね」
私の手は泡だらけなので、野田さんは食べさせてくれようとしていた。
それについて特になにも思わず、私は喜んで大きく口を開ける。
舌の上にコロッケがのり、パクリと口を閉じた、そのとき……。
「なにをしているんですか?」
ドアの方に怒りを押し殺したような、低い声がして、皆の視線が一斉にそちらを向く。
そこには、いつの間に入ってきたのか、悠馬さんが立っていた。
まだフォークを咥えたままの私は、コツコツと革靴の音を響かせて近寄る彼に、ビクリと肩を揺らす。
彼は社内では柔らかな物腰で、部下に対しても丁寧な口調で話す人。
今も口角が上がっていて、一見すると、いつもと変わらず微笑んでいるようだけど……目が笑っていない。
嫉妬のこもる視線が私の口に差し込まれているフォークに向いている。
その視線が、フォークから野田さんの手、さらに腕を伝って顔に向くと、野田さんは青ざめた。