副社長は束縛ダーリン
野田さんが手を離したせいで、私の唇から抜け落ちたフォークが足元に落ちて、乾いた音を立てる。
悠馬さんが二班の開発室に現れたのは、今日、二度目。
今までそんなことはなかったから、私も含めた誰もが驚いていた。
そして全員の胸に、『マズイ』という思いが浮かんでいるのは間違いないだろう。
固まる私たちに近づいてきた悠馬さんは、野田さんと私の前で立ち止まると、作り笑顔で彼を追い詰める。
「新作コロッケ、美味しそうですね。
ひとつ、質問してもよろしいでしょうか。開発二班では、食べさせる習慣があるのですか?」
「いえ、あの、その……」
しどろもどろで、言い訳の言葉さえ浮かばない様子の野田さんと、固まるばかりの班員たち。
驚きから回復した私は、この状況をなんとかしなければいけないと、責任感のような罪悪感のようなものが芽生えて、忙しく頭を働かせていた。
野田さんを守るような言動を取れば、悠馬さんの嫉妬の炎に油を注ぎそうな気がするし……そうだ!