副社長は束縛ダーリン

しかし、ビクともしないどころか、さらに距離を詰められて、額同士がコツンとぶつかった。


「言って。言わないと……出張を取りやめるよ? そうすれば取引先との関係がこじれてしまうかもね。朱梨のせいで」

「私のせいで!?」


そんな大事にされては大変と、慌てる私は、さっき喜んでしまった理由を説明した。


「久しぶりに友達を誘って遊びに行こうと考えていただけです」

「友達って誰?」

「会社の同期か、学生時代に仲よかった子です。連絡してみないと、急な誘いに乗ってくれる人がいるか分からないので、まだ誰と行くかは分かりません」

「男じゃないよね?」


私はすぐに誰とでも親しくなれる。

子供でもお年寄りでも、後輩でも先輩でもだ。

それはきっと人情あふれる下町の商店街で育った影響が大きい気がする。

友達も多いと自負しているし、その中には男友達も含まれるけれど、断じて浮気症ではない。

学生時代は六年間もずっと同じ人と付き合っていた一途な性格なのだ。
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