副社長は束縛ダーリン
今は退社後の帰り道。
途中で立ち寄ったスーパーマーケットの買い物袋を下げて、赤みの帯びる空の下を歩いている。
悠馬さんと別れて開発室に戻ったあの後、彼のしつこい訪室について謝罪した私に対し、二班の男性たちはこう言った。
『なんか最近、慣れてきたよ』
『副社長が来ないと、逆に心配になるしね。ふたりに、なにかあったのかなって』
『それにしても、朱梨ちゃんの愛されっぷりは、すごいな』
笑って許してくれた先輩たちの優しさに感謝しつつ、家路をたどる。
この辺りは四、五階建てのマンションと、二階建ての民家が混在している住宅地。
今風のファッションをした若者も、下校中の子供たちも、買い物帰りのお年寄りも、年齢層様々な人々が通りを歩いていた。
自宅アパートのある細道に入ろうと、角を曲がったところで、「あら、朱梨ちゃん。お帰り」と声をかけられた。
「おばさん、こんにちは。
これからお出かけですか?」
「味噌汁用のお豆腐、買い忘れちゃってね。面倒くさいけど、ちょっと、そこのスーパーまで行ってくるわ」
「あ! それなら、これ、どうぞ」