副社長は束縛ダーリン

今は退社後の帰り道。

途中で立ち寄ったスーパーマーケットの買い物袋を下げて、赤みの帯びる空の下を歩いている。


悠馬さんと別れて開発室に戻ったあの後、彼のしつこい訪室について謝罪した私に対し、二班の男性たちはこう言った。


『なんか最近、慣れてきたよ』

『副社長が来ないと、逆に心配になるしね。ふたりに、なにかあったのかなって』

『それにしても、朱梨ちゃんの愛されっぷりは、すごいな』


笑って許してくれた先輩たちの優しさに感謝しつつ、家路をたどる。

この辺りは四、五階建てのマンションと、二階建ての民家が混在している住宅地。

今風のファッションをした若者も、下校中の子供たちも、買い物帰りのお年寄りも、年齢層様々な人々が通りを歩いていた。


自宅アパートのある細道に入ろうと、角を曲がったところで、「あら、朱梨ちゃん。お帰り」と声をかけられた。


「おばさん、こんにちは。
これからお出かけですか?」

「味噌汁用のお豆腐、買い忘れちゃってね。面倒くさいけど、ちょっと、そこのスーパーまで行ってくるわ」

「あ! それなら、これ、どうぞ」


< 46 / 377 >

この作品をシェア

pagetop