副社長は束縛ダーリン
見た目も話し方も真面目で、神経質そうな印象を受ける渡辺さん。
でも、とてもいい人だ。
苦情の後、ユキヒラの冷凍コロッケを持って謝りに行ったら『このコロッケは大好物です。ありがたくいただきます』と言って、彼女は喜んでくれたから。
私が今までに出会ったコロッケ好きの人に、悪人はいなかった。
うちの会社のコロッケを大好物と言ってくれる渡辺さんは、少々お堅いイメージでもいい人に違いない。
どこかへ出かける様子の渡辺さんにニッコリと笑顔を向けて、「行ってらっしゃい」と別れようとした。
すると、外階段に一歩、足をのせたところで止められる。
「北さんのお宅では、犬でも飼い始めたんですか?」
「へ? 犬も猫も飼ってませんけど……」
なぜ突然そんなことを?と疑問に思って振り向くと、渡辺さんは二階の私の部屋を見上げて首をかしげる。
「ドタドタと物音がして。気のせいですかね?」
まさか……泥棒!?