副社長は束縛ダーリン
弟は私の魅力を知らないだけだ。
具体的にどこがどう魅力的なのかは、私にも分からないけれど、とにかく悠馬さんに溺愛されるほどの女なのだ。
きっと私のパンツにだって、結構な価値があるはずだと思う。
そう反論しようとしたけれど、考え直してやめておいた。
弟に『そう言われたら、最近色っぽくなったよね』と言われる方が嫌だから。
草太の顔を見るのは、お正月休みに帰省したとき以来。
ほんの少しだけ成長したように見える草太と、他愛ない姉弟の会話をしながら、私は夕食の支度に取りかかる。
「今日の飯、なに?」と、夕食にあずかる当然の権利があるように尋ねた弟に、「メインはユキヒラの冷凍コロッケ」と答える。
すると「ヤッタ!」と喜ぶ声が、ちゃぶ台の方から聞こえてきた。
私ほどではないと思うけれど、草太もコロッケが大好物。
私たちの実家は下町の、商店街の靴屋を営んでいる。
鞄や傘の修理もしている昔ながらの小さな店で、両親は閉店の二十時まで働いていた。