副社長は束縛ダーリン
それを救ってくれたのが、ユキヒラの冷凍コロッケ。
肉の松屋が閉店してからは、実家の冷凍庫に常備されることとなり、オカズやオヤツとして、週に五日はコロッケを口にしていた。
私と弟の体の30パーセントほどは、コロッケで作られたと言っても過言ではないだろう。
会話が途切れたので、そんな昔を思い返しながら、私は味噌汁を作り、キャベツを千切りにしていた。
すると草太がいじっていたスマホを置いて立ち上がり、廊下に踏み出す。
トイレかと思ったら、「シャワー入る。十分で出るから、ピッタリでコロッケが揚がるようにしてね」と、図々しいことを言ってきた。
「はいはい。十分後にコロッケね。
タオルはタンスの一番下だよ。自分で出して」
狭い部屋なので、台所から浴室までは三歩で移動できる距離にある。
シャワーの音をすぐ側に聞きながら、夕食を作り上げ、ちゃぶ台に並べていった。
あとは、冷凍コロッケを揚げるだけかな……そう思ったのだが、なにか大切なことを忘れている気がして、ちゃぶ台を見下ろし、ハタと考え込む。