副社長は束縛ダーリン

お漬物と解凍した枝豆と、ソースは出したし、近所の人からいただいたサクランボは、洗ってガラスの鉢に盛り、冷蔵庫の中。

冷たい方が美味しいから、サクランボは食後に出そうと思う。

味噌汁とご飯をよそうのは、草太がお風呂から上がってからでいいし、やっぱり他にやるべきことは、コロッケを揚げることだけのような気がするけれど……。


やり忘れがあるような気持ちは消えぬままに、ちゃぶ台に背を向け、台所に戻ろうとしたら、部屋の隅に置いていた通勤用のショルダーバッグの中から、スマホの着信音が聞こえてきた。

その音を耳にすると同時に、忘れていた用事をハッと思い出す。


そうだ。日課の、“家に着きましたメール”を、悠馬さんに送信していなかった。

草太が突然やって来たから、彼との約束事をすっかり忘れてしまっていた。

この着信は、きっと……いや絶対に、心配性の悠馬さんからの電話だろう。


急いでスマホを取り出すと予想した通りで、電話に出るなり『まだ帰ってないの? 今どこにいる?』と問いかけられた。

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