副社長は束縛ダーリン
一度切って、かけ直すと言おうとしたのに、私が切る前にとっくに通話は途切れていたみたい。
悠馬さんの方も、電話を続けていられない状況になったのかな?
なにがあったのだろうと疑問に思いつつ、スマホをちゃぶ台に置いて、タンスの前へ。
一番下の引き出しから白いバスタオルを取り出し、草太に向けて放り投げた。
「サンキュー。さーて、コロッケ、コロッケ。
ん? 姉ちゃん、まだ揚げてないの?」
「うん、電話してたから。なんか途中で切れちゃったけど……あ、そうか!」
悠馬さんが電話を切った理由に、私はようやく思い当たった。
彼は、私に弟がいることを知らない気がする。
交際はもうすぐ四ヶ月になるところで、その間は帰省する機会もなかったし、私が家族の話題を口にすることはなかった。
さっき、なんの気なく聞かせてしまった草太との会話を、姉弟間のものと認識できなかったら……浮気を疑われた?
そして今から彼は、このアパートに駆けつけてきそう。この前のように。