副社長は束縛ダーリン
レシピを商品化に結びつけるのは、簡単にはいかない道筋だ。
班から課、部署、社内会議へと、クリアしなければならない壁は徐々に分厚く高くなっていく。
泉さんは、それを一年目で……。
去年は私の指導役として、手取り足取り仕事を教えてくれた一番身近な先輩を、今までとは違った目で見てしまう。
湧き上がる尊敬の念で、まるで後光が差しているかのように彼女が眩しく見えていた。
胸の前で指を組み合わせ、「すごい格好いい、憧れます!」と正直な気持ちを口にすると、クールな泉さんの頬が薄っすらと赤く色づく。
珍しく照れている様子の彼女が、それをごまかすように咳払いをひとつして、今度は叱らずに励ましてくれた。
「北(きた)朱梨。まったくいい名前よね。
副社長にも目をかけられてるんだから、頑張って成果を出して」
「はい。ありがとうございます!」
いい名前だと言われた理由は、ジャガイモの品種のひとつ“キタアカリ”と同じ名前だから。