副社長は束縛ダーリン
面白くなさそうなその顔を横目で見て、子供の頃の記憶が蘇る。
上級生男児との喧嘩に負けて帰ってきたときや、毎年恒例のお年玉の額を決める、トランプ勝負で私に負けたとき、草太はこんな顔をする。
拗ねている理由は、悠馬さん?
悠馬さんに対して、草太が悔しがる理由は、姉を取られたような気持ちでいるから?
なによ。大きくなっても、甘えん坊のかわいい弟じゃない。
仕方ないから、コロッケを奪われた恨みは忘れてあげることにしよう。
食事が済んでも、悠馬さんはまだ帰ろうとしない。
明日の朝は早いというのに、草太の相手をさせられている。
悠馬さんに無理やりスマホゲームをやらせている草太は、俺の方が得点が上だと、しょうもない優越感に浸って楽しそうだ。
私は洗い物を済ませて、三人分の冷たい緑茶を淹れ、茶菓子とともにお盆にのせると、ふたりの元へ。
「はーい、お茶ですよ。ご近所さんにもらった、猫屋の高級芋羊羹もあります」