副社長は束縛ダーリン
油に火がつく前に、慌ててコンロの火を止めたのだが、煙で天井の火災報知器のベルを鳴らしてしまったのだ。
けたたましく鳴り響くベルも、班長の三上さんがモップの柄を使って止めてくれたけれど、たまたま二階の廊下を歩いていたらしい、当時、人事部長だった悠馬さんが駆け込んできて……。
私のせいで二班全員が注意され、始末書のようなものを三上さんに書かせて、本当に申し訳なかった。
その翌日には、私ひとりだけ人事部長室に呼び出され、クビにされるのではないかと泣きそうになっていたら、思わぬ優しい声を聞いた。
『君を採用したのは俺だから、昨日のことには俺も責任を感じている』
『人事部長にまでご迷惑をおかけして、申し訳ありません……』
『責めている訳じゃないよ。目が離せないなと思っただけ。これでは心配で仕事が手につかない。だから……連絡先を教えてほしい。俺が君を見張ってあげるよ』