副社長は束縛ダーリン
個人的な連絡先を交換してからは、食事やデートに誘われたり、突然『今から会いたい』と言われた夜もあった。
もしかして、私のことが好きなの?と期待しそうになっても、相手は七つも年上のユキヒラ食品の御曹司。
妹的な気持ちでかわいがってくれるだけだろうと、思うようにしていた。
そんな月日が三ヶ月ほど過ぎた今年の一月、ついに彼に告白されたのだ。
『俺の彼女になって』と……。
デートの帰り際、彼の車の中での告白シーンを思い出し、私の顔は熱を帯びる。
ひとり照れる私の気持ちは気づかれず、みんなはボヤ騒ぎのことをおもしろおかしく話題にして、からかうように笑っていた。
「朱梨って、結構ドジっ娘だよね〜」
ボヤ騒ぎがキッカケで、彼との距離が急速に縮まったから、あの出来事を忘れてほしいとは言わない。
でも、ドジっ娘ではないと主張したい。
あれ以降、これといった迷惑をかけてはいないつもりだから。
ドジっ娘と言ったのは、斜め向かいに座っている、事業部のトモちゃん。
「できる開発部員じゃないけど、私はそれなりに仕事してるよ」と文句を言ったが、トモちゃんを含めた全員に見事にスルーされて、話題は私の持ち物に移っていた。