【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「お前、なにやってんの? こんなとこで」
昔と変わらない、ぶっきらぼうな口調でそう言う。
「わ、私は仕事で……」
「仕事って?」
疑うような口調に、私は視線を大広間の方に向ける。
千葉くんは私の視線の先の『フードトレードショー・インジャパン レセプションパーティー』と書かれた案内板を見て、眉をひそめた。
「はぁ? お前、そんな恰好であんなパーティーに参加してたのかよ」
軽蔑するような口調に、胸が痛んだ。
華やかなメイクに、パールのネックレス。サテンのドレスに、可愛らしい髪型。そのどれも、自分には似合ってないと言われたような気がした。
『お前みたいな可愛くない女と、本気で付き合うわけねぇだろ! うかれてんじゃねーよ』
十年前彼に言われた言葉が、生々しく蘇った。
ショックで、前を向けなくなる。俯いて黙り込んだ私に、千葉くんは私の両肩を掴んだまま続ける。
「お前、コンパニオンかなんかなの? それとも安い見世物かよ」
見世物って……。そんな侮辱をされるほど、私の恰好はみっともないんだろうか。
そう思っていると、肩を掴んでいた千葉くんの手が、私の頭に伸びた。
「頭に猫耳つけて、尻尾までつけて、なにやってんだよ」
そう言われ、驚いて目を見開いた。