【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
ホテルの前で待機していてくれた車に乗り込み、専務のマンションへと向かった。
部屋に入り、ふたりきりになった途端、安心して気が抜けた。
床に座り込み「ふー」と息を吐き出す。
そんな私を見ながら、専務は不機嫌そうなまま口を開いた。
「さっきの、誰?」
「えっと、地元の高校の時の同級生です。ホテルで偶然会って……」
「あいつ、詩乃ちゃんの猫耳と尻尾、見えてたの?」
「みたいです……。耳が動くのを見て、本物みたいだって驚いていました」
私が答えると、専務は唇に手を当てて考え込む。
「俺と詩乃ちゃんにしか見えないと思ってたのに、なんで……」
そのつぶやきに、私も頷く。
会社でも私生活でも、私の猫耳に気付く人はいなかった。
今日も、あんなにたくさんの人がいるパーティーに参加していたのに、見えている人はひとりもいなかった。
それなのに、なんで千葉くんだけが……。